Ω`s Music Film

自称「平成の名曲ハンター」の高校生が、思うがままに音楽を布教するブログです。

アルバム『miss you』全楽曲解説~後編~

※注意※

この記事は後編です。前回を見ていない方は、そちらを先に見る事をおススメします。

この後編では、7曲目の「雨の日のパレード」から13曲目の「おはよう」までの7曲を取り上げます。それでは後半戦、行ってみよー!

★7曲目「雨の日のパレード」

後半は一気に気が抜けたのか(言い方…)、本当に眠気との勝負です。あっ、でもこの曲のどこかジメジメしたかのような表現は評価したいです。そしてこれ、上パートと下パートでハモったら面白そうです。誰かで実現してくださらないかな…。

そしてラストの転調…これは在り来たりな気もしますが、この転調こそがこの曲の特徴です。雨が上がるイメージができますね。歌詞にも「見上げれば Rainbow」とありますし、どこか前向きになれる曲に仕上がっていますね。ミスチルには他にも「雨のち晴れ」や「通り雨」といった、雨をタイトルに着けた曲はありますが、それらとはまた違った雰囲気を持った曲です。他の2曲はラストは願望を示すかのような歌詞で終わるのですが、この曲に関しては、ハッキリと結論が付いていて、この終わり方は後味もスッキリで好きなのですよね。

それから、ここらで気がついたのですが、本作アコギ入っている曲多いですよね。妙にバンドサウンドよりもアコギやピアノの主張が激しい気がしました。これは一体、どういう意図なのでしょうかね。

アルバムの流れを前の曲(アート=神の見えざる手)から一気に戻している気が強いです。

★8曲目「Party is over」

アコギ主体の曲です。…というか、これはもはやミスチルの曲ではなく、桜井さんのソロですよね。ただ、この曲、睡眠導入には向いていそうですよね。普通に桜井さんの歌声と優しいサウンドに癒されます。聴いている途中に寝落ちしてしまいそうですが(笑)。

それから、サビのメロディラインがどことなく「Starting Over」を思わせました。実際に聴き比べてみると分かりやすいと思いますが、どこか似ていますよね。この曲たち。

そして歌詞の内容、タイトルからして、「後の祭り」感が強く、何かを失った主人公を表している様に思えます。確かにそこにまだ温もりは感じるのに、全編を通して歌詞が後ろ向きなのですよね。もしかしたらきっと過去に辛い目に会って、そこから心が脱却しきっていないと仮定すると、最終的にはバッドエンドなのでしょうかね。

★9曲目「We have no time」

この曲もまた、過去作との繋がりを感じます。歌詞中には「ブルース・リー」と、歴史的なミュージシャンのお名前もありますし、どちらかと言うと、これまでのバンド活動を経ての自分たちの事を言っているかのような内容です。

また、この曲にも韻踏みは数多く存在して、リズム感も相まって、まるでラップのようです。ミスチルでラップテイストの曲と言えば…何でしょう。「LOVEはじめました」くらいしか思いつきません。

効果的に英詞も挟まっていて、このアルバムの中では1番盛り上がる曲だと思っています。ライブで披露される際には、コール&レスポンスもやるのでしょうかね。「Dance Dance Dance」とかには叶わないと思いますが、この曲のライブでの演奏頻度は高そうです。

★10曲目「ケモノミチ」

9月16日に先行配信された楽曲で、このアルバムの収録曲内では1番最初に解禁された楽曲です。一番最初のトレーラーで使われていたのはこの曲です。ただ、一部歌詞を誤っていたようで、私が唯一何と言っているのか聞き取れなかった「つきにつまりた」の部分は、正しくは「月に爪弾いた」という歌詞みたいです。ちなみに「爪弾く」とは、ギターを爪で弾くことを指すようです。クラシックギターとかは爪弾くになるのでしょうかね。

また、この曲のサウンドは、前作の流れを踏襲している様に思いました。…というのも、どうやらこの曲に携わっている方の中には、前作『SOUNDTRACKS』のレコーディングに携わった方もいらっしゃるらしいです。

前作や「生きろ」が好きだという人はかなり刺さったのではないでしょうか。

この曲、個人的にはスピッツにも同タイトルの楽曲が…って、ひみスタの時も同じことがあった気が…。


www.youtube.com

★11曲目「黄昏と積み木」

これまたユニークな作品です。週末の話を全編を通してしているのですが、純粋なライヴソングだと思っています。しかもこれ「ありふれたLove story~男女問題はいつも面倒だ」や「幸せのカテゴリー」のようなバッドエンドではなく、ハッピーエンドと捉えることができますね。

それと、歌詞中にLINEとあって、まさかこれが歌詞として出てくることになるとは…。桜井さんがつづる歌詞って、かなり日常的なモノが多いのですよね。このアルバム内にも先程の「雨の日のパレード」もそうですし、後半部分を見れば「アート=神の見えざる手」なんかもそうですよね。過去曲と繋げると、私が大好きな「End of the day」や「Prelude」なんかにも通じそうです。

この曲は初聴きの時点でやられました。リズムは少々耳に残りづらいですが、歌詞の一般受けはしやすい方だと感じています。

★12曲目「deja-vu」

歌詞を見た瞬間、一気に気になりました。デジャブって、過去に会ったことを再び経験することを指すようですが、「夢で見た記憶に…」から始まるのもあって、中々解釈の仕様がありますね。

また、歌詞の途中に「誰の中にもブレーキと そしてアクセルがあるけれど」という部分で、私は「es」を説明するために小林武史さんが用いていた用法を思い出しました。

小林さんの話によると、オーストリアの心理学者「フロイト」が提唱した「ego(自我)」「es(無意識・本能)」「super ego(超自我)」の説明に用いたのが、車です。そこで小林さんが「ブレーキ」と見立てたのが「super ego」、「アクセル」と見立てたのが「es」です。ちなみに「ego」は「ハンドル」という風に表現しています。

つまり、人には自我でコントロールするブレーキと、無意識にコントロールするアクセルを、誰もが持っているという風に解釈ができます。

上のはあくまでも私の解釈ですが、歌詞全体としては、「そんな感情に揺さぶられている僕だけど、僕の作る曲を聴いてくれてありがとう」という、桜井さんから聴取者に向けたメッセージが込められている事でしょう。

★13曲目「おはよう」

これまたスピッツの「こんにちは」という曲を思い出しました。いずれもアルバムのラストを締めくくる曲となっているのですが、この曲は、ミスチルのアルバムのラストではお馴染みであるバラード調の曲になっています。しかも、「黄昏と積み木」に近しいものがあって、何気ない日常を壮大なサウンドに載せて歌い上げているのです。

歌詞の内容は正にザ・日常と言った感じで、歌詞の途中の缶ビールは「others」が思い浮かびました。

それから、ラスサビでの転調もまた良くて、まるで日を跨いでいるかのような表現でした。この曲を聴いた後にはぐっすり眠れることでしょう。この曲、「おはよう」ではなく「おやすみ」ですよ。曲調からして。…とまぁ、最後の最後まで心地よく、どこか温もりを感じるサウンドに浸れました。

★アルバム総評

最後にこのアルバムに対する私の感想を述べていきます。

私的には、多分Top3くらいには入る、良いアルバムだったなと思いました。発表当初に「優しさ」というワードがあり、私からしたらどういう事なのか、いつもとは違った感じだという事以外は分かりませんでした。ただ、ふたを開けてみたら、その優しさというモノが…もっと言うと、桜井さんが表現する「優しさ」とはどういうモノなのか、よく分かりました。それと、このアルバムは一度聴いただけでは理解できない部分も多いでしょう。何度か聴いていく内に、色々と分かって来るのだなと感じました。

良い意味で言うと、サウンドはある程度統一していて、ごちゃごちゃした感じが無かったので、そのような内容が好きな方には気に入って頂けると思っています。一方、似たようなサウンドが続くという事は、それなりの覚悟が必要です。もしかしたら人によっては、途中で投げ出してしまうかも…。そんな意味で、この作品は好みがハッキリと分かれるのだなと感じました。ですので、万人受けかと問われると、違いますね。

最後にまとめると「半世紀への(けもの)道を歩き始めた彼らが奏でる、優しくもどこか不思議な世界、それが凝縮されたアルバム」でした。

★以上!

前後編合わせて約6900字の今回のブログ、いかがでしたでしょうか。流石に3日連続更新は疲れました。ひとまず、お疲れさん、私。

ひみスタの時と比べると短いですが(あっちは確か7000超えていたっけ)、私的には十分伝えきれたと思います。ブログ作成の形も、大分思い出してきました。

さて、次は今週の土曜日に投稿予定です。…さて、じゃあ最後にこれを…


www.youtube.com

今回のアルバムのトレーラーです。「LOST」「Fifty's map~おとなの地図」「雨の日のパレード」「ケモノミチ」「I MISS YOU」が使用されています。もし今回のブログを通して興味を持ったら、是非CDを購入してみてください。ライナーノーツも素晴らしいものになっています。また、来月の8日にはサブスクで全楽曲解禁されます。もしサブスクで聴いてみたい人は、もう少し待ちましょう!

今回はここまでになります。最後までご拝読ありがとうございました。ではではー。